みなとみらいにあり、通称S/PARK(エスパーク)の愛称は、資生堂(Shiseido)の公園(PARK)と、イノベーションやインスピレーションがスパークする場所という二つの意味が込められているそうです。1階と2階のコミュニケーションエリアは、飲食店やコスメ商品の無料体験コーナーもあり、一般の人でも入室可能です。4階のコラボレーションエリアでは、研究所には珍しい商談スペースや、外部研究機関との共同研究室を設置しています。5階から15階研究設備エリアです。
全体の外観と業績
ビル外観です。地上16階の78m程の建物です。汐留にも本社機能の事務所がありますが、正式な
登記上)の本社は銀座となっています。国内の化粧品メーカー大手は、資生堂、花王、コーセーのなどがあります。2019年度、2020年度の決算は以下の通りとなりました。
2020年度 | 売上高 | 営業利益 |
資生堂 | 9,208億円 | 149億円 |
花王 | 1兆3,819億円 | 1,755億円 |
コーセー | 2,793億円 | 132億円 |
2019年度 | 売上高 | 営業利益 |
資生堂 | 1兆1,315億円 | 1,138億円 |
花王 | 1兆5,022億円 | 2,117億円 |
コーセー | 3,277億円 | 402億円 |
コロナ禍を挟むので2019年度と2020年度では決算が大きく変動しています。ここ2年では資生堂は花王に次ぐ位置ですね。ちなみに2020年度の資生堂は、コロナによる国内・欧米での化粧品需要の急減が影響しました。2021年度は需要の回復や事業ポートフォリオの見直しで増収増益の予定です。
エントランスです。三角形になっています。資生堂は海外事業がとても強いです。2021年度売上高見通しは1.1兆円ですが、内訳は下記のようになっております。
●日本・・・3,460億円
●中国・・・3,135億円
●アジアパシフィック・・665億円
●米州・・・1,165億円
●欧州・・・1,060億円
●トラベルリテール・・1,065億円
●プロフェッショナル・・145億円
●その他・・305億円
日本と中国がほとんど変わりませんね。グローバルに収益分散ができています。ちなみにトラベルリテールとは、空港、航空路線、免税市中店舗、クルーズ船、国境ショップなどのデューティーフリービジネスです。いわゆる免税店ですね。トラベルリテール地域本社としてシンガポールに本社を置いています。
企業情報
■株式会社 資生堂
■平均年収・・・659万円 (有価証券報告書より)
■事業内容・・・化粧品国内大手。中国を第2の本社と位置づけ、積極展開。高価格帯スキンケアの強化に注力。 欧米の赤字が続くが、高価格帯化粧品伸長の中国快調。デジタル投資等こなし営業益も回復。7月には日用品事業譲渡。
内観
近代的なテクノロジーを意識させながらも螺旋階段や木のフローリング、天井になっており独特な雰囲気になっています。資生堂はアクセンチュアと提携しDXを加速させたり、中国ではアリババと戦略的パートナーシップを結ぶなど、積極的な展開を進めています。9月には中国で「樹木との共生」をテーマにした新ブランド”BAUM”を発売するそうです。また、Eコマース分野にも今後注力していきます。
階段側のスクリーンは、微細なLEDを用いた『Crystal LEDディスプレイシステム』というもので、世界最大の16K×4K(19.2m×5.4m)サイズです。数分ごとに映像が変わり、部屋の色合いも大きく変わります。
2階から見た写真です。
2階の展覧スペースです。アイアンマンみたいです。資生堂は最新技術を駆使したデジタル改革に着手しています。例えば、モニターで肌に合ったファンデーションを自動的に判定したりすることもできます。銀座に新しくできた店舗では試用から購入まで非接触で完結できる仕組みも整えました。
社員用のゲートです。資生堂は現在事業ポートフォリオの見直しをしています。イタリアの高級ファッションブランド「ドルチェ&ガッパーナ(D&G)]とのライセンス契約を2021年末に解消する動きや、ヘアケア商品「TSUBAKI」を含む日用品事業を売却することなどが挙げられます。日用品事業の売却により特別利益が870億円生じるとのことで、今期決算も厳しいながらなんとか黒字を維持します。国内市場は引き続き伸び悩んでいるそうです。インバウンドの減少に加え、コロナの影響も長くなるからでしょう。確かに在宅やマスク生活だど化粧品のニーズは減りそうです。今後しばらくは中国等の海外市場に期待ですね。
化粧品を試用できるコーナーもあります。購入もそのままできるのでしょうか。資生堂は毎年新卒を100~200名ほど採用していますが、2022年採用はどうなるのでしょうか。元々人気企業且つ就職難関企業ですが、業績に応じ採用人数を絞ることであれば更に就職するのは難しくなりそうです。勝手なイメージですが、化粧品会社の女性社員は美人が多い印象です。筆者も化粧品メーカーで働きたいです。
カフェも併設されていました。最後はここで一杯飲んで帰りました。資生堂グローバルイノベーションセンターちょっとした観光やデートにも使えそうです。
人気業界の化粧品メーカーでもトップクラスの業績・規模を誇る資生堂でした。伝統ある企業でありながらも建物や雰囲気はベンチャーを感じさせる今時でした。コロナやインバウンド減少の影響がある中、事業の見直しやEコマース等のデジタルの活用によって今後業界順位も大きく変わりそうです。